モードの最前線で輝く「サルヴァトーレ フェラガモ」から目が離せない。
「サルヴァトーレ フェラガモ」の注目度が、にわかに高まっている。立役者は昨年からメンズのデザインを指揮するクリエイティブ ディレクター、ポール・アンドリューその人だ。1927年にフィレンツェで創業したフェラガモは、ご存じの通り世界中のセレブリティや富裕層を顧客に抱えるラグジュアリーブランド。ハリウッドで映画俳優たちの靴を手がけ「スターの靴職人」と称された創業者のDNAを受け継いで、男女ともにエレガントなシューズを軸にバッグや小物などのレザーグッズやアパレルまで、幅広く展開している。
イタリアらしい大人の色気とエレガンスを薫らせるスタイルは安定した人気を誇り、日本でも多くの顧客を抱えている。さらにいま、モードの最前線での評価が高まるにつれ、トレンドに敏感な層からも熱い視線を集めているのだ。
重要人物、ポール・アンドリューとは。
フェラガモ浮沈を握るキーパーソン、ポール・アンドリューは英国出身の40才。シューズデザイナーとして2012年に自身のブランドを立ち上げると、たちまち評価を得て16年に靴部門のディレクターとしてフェラガモに参加。翌17年にはウィメンズウエア部門のクリエイティブ ディレクターに昇格し、19 年にはメンンズ部門を指揮下に収め、ブランド全体を統括するクリエイティブ ディレクターに就任。俊英たちがひしめくファッション業界で、その階段をあっという間に駆けあがってきたのである。
ファーストコレクションとなった、2020年春夏コレクション
いま店頭に並んでいる春夏シーズンのメンズアイテムは、ポールが参加した最初のコレクションである。フェラガモらしい上品さを薫らせながらもスポーティでリラックスした空気感を放つ、フレッシュで “いまどき”なワードローブだ。足元に目を向ければ、キーアイテムは厚底にアレンジされたエスパドリーユ。スニーカーに代わる春夏のシューズとして注目したいアイテムである。
ミラノで披露された、2020-21年秋冬コレクション
そして今年1月。2シーズンぶりに復帰したミラノ メンズコレクションで、2020-21年秋冬コレクションが発表された。全39ルックで構成されたショーはテイラードアイテムを軸に据え、色も素材もぐっと落ち着いたスタイルに。足元にレザーシューズやロングブーツを合わせ、スポーティなテイストからの転換を印象づけた。
ショー直後のバックステージで「この10年ほど、誰もが楽な着心地のスポーツウェアを好んできました。けれどもいまは新たなフォーマリティへの回帰が待ち望まれていると強く感じる」と語ったポール。「新しい時代に差し掛かっているこの瞬間、男性のアイデンティがどうあるべきか考えた」という今シーズン、セイラーやサーファー、レーシングドライバー、バイカーやビジネスマンなど6つのタイプを定義することからスタートし、「彼らがユニフォームのように好んで着た服を、ミックスして着こなすことをイメージしている。セイラーが着るようなニットをジャケットに合わせたり、そこにウェットスーツパンツを合わせたり。すごく自由な着こなしです」
服好きの心に響く、ラインナップ
ピーコートやフライトジャケット、レザーのライダースジャケットやセイラーニット。男性にとって身近に感じるアイテムが、フェラガモらしい高級感で仕立てられている。シルエットはゆったりと穏やかで、リラックス&スポーツのトレンドに慣れた身体にも受け入れやすい。黒やブラウン、カーキ、オリーブなどメンズの“定番”を取り入れたカラーパレットも目に心地よく、さらにヘリンボーンなど伝統柄をアレンジして自身の母国イングランドのエッセンスを振りかけたコレクションは、ポールの審美眼のもとで磨き上げられた、服好きの心に響くラインナップだ。
日本の主な顧客は年齢層がやや高く、主張が強いアイテムよりも安心して着られるシックなものが好まれるそうだ。そのためミラノのランウェイで披露されたアイテムは、国内では一部が展開されるにとどまるという。多くの来場者の目を楽しませたアイテムは確かにややエッジィで、着こなしづらいものかもしれない。しかし実際はこのブランドを長く着続けてきた人にこそふさわしい、品格やクオリティ、時代を表す感性を備えたものだ。その魅力を目撃したひとりとして、この服が多くの人に選ばれ、東京の街角に彩りを加えていくことを期待したい。
問い合わせ先/フェラガモ・ジャパン TEL:0120-202-170
www.ferragamo.com